2015年7月20日月曜日

やっと買えた…

先週、友人が住んでいるドイツのデュッセルドルフに再び行ってきました。ドイツで本場のビールを飲むのはいつもの楽しみ。でも、今回はどうしても買いたいものが。前回年末に行って試しに買ってみた、addi社の輪針。今回はドイツでまとめ買いです。
ドイツはデパートに行くとまだ手芸コーナーがきちんと残っていて、まだ需要がある状態です。それに比べて、パリのデパートの手芸コーナーはほとんどなくなってしまいました。フランスでは、手芸道具、材料はほとんどネットに頼らざるを得ない今日。ドイツでこうやって手にとって手芸用品を見れるということは本当に羨ましいなと思います。


2015年7月19日日曜日

ディディエ・リュドのオークションオープニングパーティー

今回は、パリのエレガンスを追求したお話。
私の職場の数軒先には「ディディエ・リュド」というビンテージ服のお店があります。有名人も多く立ち寄るこのブティック、良き時代のパリのモードを彷彿させるウィンドーは誰もがため息をついてしまうほど素敵な洋服ばかり。もちろん、全て商品として売られているわけですが、商品などという言葉を使っては不謹慎に思えるほど数々の「作品」が店の中を埋め尽くします。

このディディエのドレス達が、あの有名なオークション会社「サザビー」で競売にかけられることになりました。そのオープイングパーティに、お隣さんのよしみとして招待状をもらい出かけてきました。行くのはいいけど、何着て行こうか…と本気で数日間頭を悩ませました(苦笑)。

インヴィテーションのドレスは
ピエール・カルダン


会場に着いたら、ディディエのアシスタントのアレックスが迎えてくれて、その向こうに足を踏み入れると素晴らしいドレスが勢揃い!美術館でもここまで見れないだろう、という作品がずらり。しかし、よくぞここまで集めたなー、と感心しましたがアレックス曰く「こんなのほんの一部だけ」だそう。
これらのドレスは翌日競売にかけられ、なんと全部完売!
そして、本人達の目標額40万ユーロ(= 135円 5400万円)を大いに上回って、96万6259ユーロ(約1億3千万)以上の売り上げになったとか。
職場のお隣さんとしてもとても嬉しかったですが、かつてのパリのモードを愛でる一人としても心から嬉しいと感じたひと時でした。

ディディエの数軒先で仕事をして彼の働きぶりを毎日見ていますが、この人は典型的なフランス人のイメージを打ち破るかのようにものすごい働き者。かつて、シラク大統領がものすごい働き者で「ブルドーザー」とあだ名がついていましたが、ディディエもまさにそんな感じ(体も大きいからさらにそんなイメージにぴったり)。
この国は、自分のやっていることに情熱を持っている人は本当によく働きます。
そして、彼は仕事には厳しいけど本当に人情のある人。
かつて、デザイナーとして活躍して今は相当落ちぶれてしまった人に対しても、昔の友人ということで小さな展覧会を開いてあげたりしています。

衣服の本質を生涯かけて守り続けるディディエからは、パリのモードとそして働くとは、人間とは、ということを学んでいます。


カステルバジャック
ポール・ポワレ
ジバンシー
マギー・ルフ
当時、ギ・ポーランのアシスタントを
務めていたラクロワによって製作された
と思われるドレス
立体的なディテールがポーランならでは
ピンクのフワフワはパコ・ラバンヌ
プラスチック素材のトップとボトムもパコ・ラバンヌ

イヴ・サンローラン

近くで見ると気の遠くなるような
刺繍がびっしり

ジャンフランコ・フェレによる
ディオールのドレス
ピエール・バルマン

言われなくてもクレージュと分かる
彼独特のミニマルなライン

ジャン・デセス
遊び心のあるディオールのスーツ
これもジャンフランコ・フェレ作です

ランバンのドレス
これを日本人で着こなせるのは聖子ちゃんぐらいかな?

川久保玲

ヴィヴィアン・ウエストウッドによる
ルイ・ヴィトン




コムデギャルソン
私はすっかりヴィヴィアン・ウエストウッド
だと思っていました

ドレスに混じって、こちらはフランス人
女性彫刻家によるゴルチェ像。
といっても、素材はなんとカーゼ!
ごく薄いガーゼを縫い合わせた
素晴らしい作品!




一番右のドレスはマーク・ボアンによるディオールのドレス

ピンクのフワフワはバレンシアガ
右はラクロワ


ディオール

バレンシアガとバルマン

バレンシアガ

ドレス全体が刺繍でほどこされています

ヴァレンチノ
ラクロワ

2015年6月3日水曜日

移民歴史博物館 - ”Fashion Mix” パリの外国人クチュリエ

今回は、めったに足を運ぶことのない移民歴史博物館。観光客もほとんど見かけないこの博物館は、今の「ケ・ブランリー博物館」が出来る前のアフリカ・オセアニアに関する博物館であった。ヴァンセンヌの森のすぐ横にあるこの博物館は、パリの喧騒を離れて緑に囲まれた場所にありとってもゆったりした時間が流れている感じ。個人的にはこの場所にあった時のアフリカ・オセアニア博物館の方が好きでした。建物そのものもすでに美術品のような素晴らしさで、中に入ると素晴らしいモザイクに飾られたエントランス。建物の素晴らしさとその広さをかなり持て余した移民歴史博物館で、久々に面白そうな展覧会を開いていると聞いたので足を伸ばしてみました。



立派な門構え

すぐ目の前はヴァンセンヌの森




エントレンスは吹き抜けて広々


床のモザイクが素晴らしい!
彫刻レリーフが素晴らしい建物は、それだけで芸術品

この博物館でファッション関係の展覧会とは意外でした

外には面白い彫刻が


展覧会の内容は、パリを支えた外国人クチュリエ。内戦を避けてパリに亡命したバレンシアガなど、政治的理由でパリに来たクチュリエを始め、ファッションの都を目指して、自ら日本を飛び出しパリを目指した高田賢三や三宅一生。ストリートファッション全盛期の時は、ヴィヴィアン・ウエストウッドなどのイギリス人デザイナーが奇抜なファッションでパリのモードに喝を入れる。最近では、経済と共に衰退しつつあったパリのモードに新しい息を吹き込んだ、アントワープ王立芸術アカデミー出身のベルギー人たちが記憶に新しい。



バレンシアガをはじめとするスペイン人クチュリエの作品

ずらりと並んだ素晴らしいドレスの数々







ヴィヴィアン・ウエストウッド





アレキサンダー・マックイーン







ロメオ・ジリ



特許を取ったテキスタイルについての説明
政治亡命者としての身分証明書



刺繍のサンプル



エルメスのスキーウェア


発注に関する帳簿











イタリアのニット技術は未だ健在


ジバンシーなどによるドレスの数々













まるでギリシア彫刻のようなドレスです


これだけのドレープをドレスに再現することを考えると気が遠くなります




靴デザイナー、サルキス・デラ・バリアンの作品

デラ・バリアンに対するピエール・カルダンによる契約書



ロベール・ドワノー撮影

見ているだけで楽しいデザイン画



三宅一生についての新聞記事

三宅一生のボディタイツ


高田賢三のカラフルなフォークロア調ドレス




アントワープ王立芸術アカデミー出身のデザイナーたちによる作品





ゴミ袋で出来たドレスとは言われるまで気づかない






















クチュールをこれまでと違う角度から見て、ファッションというきらびやかな裏には、デザイナー自身の苦悩が隠れていて、それを乗り越えても美しいものを作り出す彼らの精神に心打たれました。

かつては、デザイナーがいて、お針子さんがいて、そしてそれを生産するアトリエがあって…という本物の共同作業が存在していました。つまり、仕事そのものが「手づくり」というもので支えられていて、その世界は生活を共にして助け合う「コミュニティ」としても機能していただろうと思われます。今日はグローバル化と称しながら実は人件費削減という目的で、あらゆるものが自分の知らないところで低賃金労働者により生産されているという時代になってしまいました。そうやって時代の紐を解いてみると、その分人々が手を動かさなくなり(その手はIT機器に奪われてしまいました)ちょっと寂しい時代になったな、と感じます。
どこを見ても同じようなデザインの安い服ばかりが氾濫する今、このようなデザイナーのメッセージを担ったオートクチュールのドレスがどんどん姿を消していくのは本当に悲しいことですが、これも時代の流れの一つに過ぎないのかもしれません。
しかし、美しいものをただ美しいと感じる人間の心と、それを自分の手を使って作り出したい、という創作意欲というものはどんな時代になっても無くならないものだと私は信じています。