私の職場の数軒先には「ディディエ・リュド」というビンテージ服のお店があります。有名人も多く立ち寄るこのブティック、良き時代のパリのモードを彷彿させるウィンドーは誰もがため息をついてしまうほど素敵な洋服ばかり。もちろん、全て商品として売られているわけですが、商品などという言葉を使っては不謹慎に思えるほど数々の「作品」が店の中を埋め尽くします。
このディディエのドレス達が、あの有名なオークション会社「サザビー」で競売にかけられることになりました。そのオープイングパーティに、お隣さんのよしみとして招待状をもらい出かけてきました。行くのはいいけど、何着て行こうか…と本気で数日間頭を悩ませました(苦笑)。
インヴィテーションのドレスは ピエール・カルダン |
会場に着いたら、ディディエのアシスタントのアレックスが迎えてくれて、その向こうに足を踏み入れると素晴らしいドレスが勢揃い!美術館でもここまで見れないだろう、という作品がずらり。しかし、よくぞここまで集めたなー、と感心しましたがアレックス曰く「こんなのほんの一部だけ」だそう。
これらのドレスは翌日競売にかけられ、なんと全部完売!
そして、本人達の目標額40万ユーロ(= 135円 5400万円)を大いに上回って、96万6259ユーロ(約1億3千万)以上の売り上げになったとか。
職場のお隣さんとしてもとても嬉しかったですが、かつてのパリのモードを愛でる一人としても心から嬉しいと感じたひと時でした。
ディディエの数軒先で仕事をして彼の働きぶりを毎日見ていますが、この人は典型的なフランス人のイメージを打ち破るかのようにものすごい働き者。かつて、シラク大統領がものすごい働き者で「ブルドーザー」とあだ名がついていましたが、ディディエもまさにそんな感じ(体も大きいからさらにそんなイメージにぴったり)。
この国は、自分のやっていることに情熱を持っている人は本当によく働きます。
そして、彼は仕事には厳しいけど本当に人情のある人。
かつて、デザイナーとして活躍して今は相当落ちぶれてしまった人に対しても、昔の友人ということで小さな展覧会を開いてあげたりしています。
衣服の本質を生涯かけて守り続けるディディエからは、パリのモードとそして働くとは、人間とは、ということを学んでいます。
カステルバジャック |
ポール・ポワレ |
ジバンシー |
マギー・ルフ |
当時、ギ・ポーランのアシスタントを 務めていたラクロワによって製作された と思われるドレス |
立体的なディテールがポーランならでは |
ピンクのフワフワはパコ・ラバンヌ |
プラスチック素材のトップとボトムもパコ・ラバンヌ |
イヴ・サンローラン |
近くで見ると気の遠くなるような 刺繍がびっしり |
ジャンフランコ・フェレによる ディオールのドレス |
ピエール・バルマン |
言われなくてもクレージュと分かる 彼独特のミニマルなライン |
ジャン・デセス |
遊び心のあるディオールのスーツ これもジャンフランコ・フェレ作です |
ランバンのドレス これを日本人で着こなせるのは聖子ちゃんぐらいかな? |
川久保玲 |
ヴィヴィアン・ウエストウッドによる ルイ・ヴィトン |
コムデギャルソン 私はすっかりヴィヴィアン・ウエストウッド だと思っていました |
ドレスに混じって、こちらはフランス人 女性彫刻家によるゴルチェ像。 といっても、素材はなんとカーゼ! ごく薄いガーゼを縫い合わせた 素晴らしい作品! |
一番右のドレスはマーク・ボアンによるディオールのドレス |
ピンクのフワフワはバレンシアガ 右はラクロワ |
ディオール |
バレンシアガとバルマン |
バレンシアガ |
ドレス全体が刺繍でほどこされています |
ヴァレンチノ |
ラクロワ |