2015年4月8日水曜日

INDIGO展覧会 - その三

南米では、アステカ文明の中でいくつかの植物が染料として使われていました。その後、スペイン人、フランス人の入植によってインディゴは利益を得るための輸出用として発展を遂げます。最近では、インディゴの染色技術は少なくなっているものの、グアテマラのチアパスではインディゴで染め上げた女性のスカートは彼女達独特の衣服であり、ケチュア族やアイマラ族のポンチョにはインディゴの縞模様を目にすることが出来ます。

 南米ならではのポンチョ



よく見ると、ライオン?

インドはおそらく、様々なインディゴの発祥の地と言っても過言ではないでしょう。"Indigofera tinctoria"と呼ばれる、コマツナギ科の植物が長年の間インディゴの染料として使用されてきていました。その染料は、この植物を水と混ぜその沈殿物をブロック状にすることによって流通していました。19世紀までは、インディゴの輸出は多大な富を生むこととなる大きなビジネスへと展開されていきます。南インドのタミールナドゥ、インド南東部に位置するアーンドラ・プラデーシュ、バングラデッシュではインディゴの染料抽出を目的に、この植物のプランテーションが未だ残っています。










東南アジアでは、湿度、高度などによる気候の違いで使用される植物も変わってきます。しかし、共通して見られる傾向は、国や部族が変わってもブルーというよりは黒に近いインディゴが多いということです。しかし、こちらも麻は化学繊維の布に代わり、手刺しの刺繍は大量生産のブレードに代わり...と伝統技術は消えつつあります。





と、数々の展示品からほんのちょっとだけしか見せられませんが、とても見応えのある展覧会でした。好評につき、展示期間が5月2日まで延長になりましたので機会のある方は是非足を伸ばしてみて下さい。

Bibliothèque Forney
5月2日まで
住所: 1 rue du Figuier, Paris75004
  地下鉄: Saint-Paul, Pont Marie

開館時間:火曜日〜土曜日まで13時から19時
入館料 : 6 €(割引料金 4 €と3€) 

INDIGO展覧会 - その二

日本では12世紀あたりから、その色合いだけでなく虫除けとしても活用された藍染めは、武士の間で非常に好まれてきました。伝統的な藍染めの技術は、近代化に埋もれることなく現在の数々のアーティストによって活用されているだけでなく、その技術を伝承する人は人間国宝として指定されています。


お隣の中国では、 ミャオ族、プイ族、トン族、シュイ族そしてグオジア人などの少数民族の衣装の中に、数々の刺繍をほどこしたインディゴを目にすることが出来ます。
手仕事とは思えない細かな技術に思わず息を飲んでしまいます。しかし、最近では大量生産の衣服によってこれらの技術は絶滅の危機にさらされているようです。







 アフリカ大陸の中では、西アフリカの方でわずかの染色人がその技術を伝承していっています。彼らは大量の化学繊維の流入に対して、この伝統技術を守り続けるという使命も担っています。マリの政情、インディゴ染色で名を知られているナイジェリアのカノ地方の内戦などは、彼らの生活を不安定な状況に追いつめ伝統的な染色技術を危機にさらしています。マリのドゴン地方ではわずかではありますが、染色技術で生計をまかなっている村がいくつかあります。ギニアのフータ・ジャロン地方では、インディゴで染め上げ、その後布を叩いて光沢を出した腰巻きを未だ作り続けています。



INDIGO展覧会 - その一

先日、自分の誕生日プレゼントとして訪れたINDIGO(藍染め)の展覧会。パリで開かれる展覧会の中では比較的小さな規模のものですが、素晴らしい展示品の数々に圧倒されたとても見応えのあるものでした。


世界各国から集まったインディゴのテキスタイルは、国によって刺繍がほどこしてあったり、アップリケ模様があしらわれていたりとクラフト精神満載です。





 この展覧会を見て、日本で藍染めと呼ばれているインディゴは、気候を問わず東西南北ほぼ世界中のあらゆる場所で太古から染料として利用されてきていたことを発見させられます。

ヨーロッパでは、インディゴは作業着の中に頻繁に見られます。現在「ブルーカラー」と呼ばれるのはこういうところから来ているのですね。

仕事用スモック

フランスのニームからアメリカに渡ったデニム

 大草原の小さな家でローラのお母さんが着ていたようなスカート