2009年5月31日日曜日

ピクニック

やっと天気も落ち着きはじめてピクニック日和となってきました。今日はパリ郊外のブローニュにて久しぶりに会う友人とピクニックです。私は頑張ってのり巻きとマフィンを作りました。Mさんの日本風(?)サンドイッチが懐かしくてパクパク食べてしまいます。そう、こういう口の中でとろけるような柔らかいサンドイッチってフランスにはなかなかないんですよね。バゲットのサンドイッチはそれはそれで美味しいのですが、あまりにもバリバリしすぎであごは疲れるし口の中を切ることもたびたび(^^; そして、今が旬のサクランボも登場。今年はこのサクランボとても安いのです。去年の2分の1以下のような気がするのですが。
子供たちは近くの人工池に群がるトンボ採りに夢中になっていました。子供たちに捕まってしまった可哀想なトンボたちは何だか苦しそうにもがいています。ほとんどの行動範囲がパリの私は、こうやって時々郊外に来るとその緑の多さに驚きます。やはりスケールが違いますね。また、スポーツ施設もとても充実していて体を動かすのが好きな人はやはりパリは息苦しいだろうなと思います。



具は、ツナマヨ、人参、レタス、卵とコストパフォーマンスの良いのり巻き


ソーセージは子供たちに大人気だし焼くだけで簡単


日本風サンドイッチ、いくらでも食べれてしまいます


今が旬のサクランボ。旬の時期が短いので今のうちに食べ溜め


材料を混ぜて焼くだけの簡単マフィン


サンクルー公園の横にある広ーい芝生が広がる公園


蜂もお仕事です。何だかカメラ入門書の写真みたいですね


サウナ状態になってきている虫かご(というか、プラスチックのバッグ)。見ているだけでこちらまで苦しくなってきます。

2009年5月19日火曜日

ボビンにありがとうを込めて

レースがやっと織り上がりました!といっても、まだ仕上げと、これをピンクッションに仕立てる作業が残っているのですが、こうやって形になったのを見れるだけでもやはり感動です。自己満足度100%!そして織り上がったこの日に情報が入ってきたのですが、明日は先日他界したボビンレースの先生、マルセルのお葬式。フランスではほとんどお葬式や結婚式に出席したことのない私は何を持っていこうかいろいろと迷いましたが、ボビンに「ありがとうマルセル」とメッセージをしたためて持っていくことに決めました。お別れを告げるのですが、私は「さようなら」という言葉を言うのが好きではありません。何事にも始めがあったら終わりもあるのですが、終わりあれば始まりもあると思います。肉体がなくなっても魂は残りますから死んだという言葉よりも「旅立ち」のほうがしっくりきます。ボビンレースに限らず何事も作品を作るときも出会いと別れがありますね。まずはアイデアとの出会い、準備があり、仕事を始めてそれをこなし作品が出来て終わる...人との出会いと似てますね。私たちはそんな出会いと別れを一生、一年、一ヶ月、そして一日の中で何度繰り返しているのでしょう。
作品を作っているときはつまずいてばかりで途中で投げ出したいときもあります。そんなつまずきがあるからこそ出来上がったときは至福の喜びです。でも、このボビンレースは不思議と辛いと感じる時があまりなかったように思えます。教室ではとにかくみんながマイペースで笑いが絶えない。誰にも競争心などないのです。おばあちゃん達の家事の秘訣やガーデニング秘密技(?)、今飲んでいる病気の薬のことやお勧めの医者(苦笑)などを聞きながらボビンを動かしている時間には本当に毎日の慌ただしさを忘れ、普通に生活することが、いや、生活出来ることがいかに大切で恵まれているということをひしひしと感じました。先生のマルセルは、せかすこともなく、課題を押し付けることもなく分からないところがあったら一つ一つ丁寧に教えてくれました。何十本ものボビンを使って織るレースのパターンを見てみんなが驚いていると「ああ、そんなの簡単よぉー」と冗談まじりに言っていました。そんなほのぼのとした本のページをめくるように過ぎていく時間の中にいたから、1時間織った後に間違いに気づきそれを全部ほどかないといけない時が何度とあってもそれを「辛い」と感じることもなかったのでしょう。それともボビンレースという手しごとが他の手芸とちょっと異なり、手芸というよりは工芸という感じなので最初から私自身のボビンレースに対する姿勢が違っていたのかもしれません。練習というよりは修行と言った方がぴったりとくるこの手しごと。人生の後半に差し掛かった生徒さんの中に混ざって手を動かしていると、ボビン以外のことでもまだまだ自分は修行が足りないのだと痛感させられました。
私のまだまだ修行の足りない人生の中でほんの少しだけ一緒に過ごせた彼女でしたが、私に与えてくれた影響は多大なものでした。だから「さようなら」なんて言いたくありません。やっぱり「ありがとう」で見送ってあげたいと思います。そして、きっとボビンを握るたびに彼女の笑顔を思い出しまた会えることでしょう。



2009年5月15日金曜日

こうなることは最初から分かっていたのに

編みかけのセーター、バカンス中はマッハで進んでいたのにやはり家では毎日のことに追われてなかなか進みません。それに、今回のセーターはパターンに特徴があるだけで編み地はごくごく普通のメリヤス編み。同じ編み方でただひたすら編むだけ。アラン模様や私が苦手とする透かし編みでさえ編んでいると模様が出来る度に「達成感」があるのに対して、同じ編み方をただひたすら、それもメリヤス編みを延々と編むのはモチベーションが上がりません。ただし、これ、編む前からそうなることは分かっていたのですけどね。それでも編み始めた以上はニッターの責任というものがあります。モチベーションが上がらないままくすぶって、また他のものに手をつけてしまうと停滞してしまうのは確実。ということで、今日も明日も延々とメリヤス編みを編む日々が待っているのでした。辛いー!

2009年5月12日火曜日

ポワン・イデ打ち上げ - 本日のコースメニュー:ポワン・イデ

ということで、今日は前回のポワン・イデの打ち上げを陶芸家のMさんのお家で開きました。みんな持ち寄りということで、もちろんこういう時は当然、パティシエのYさんに大いに期待が集まります(笑)。期待通り素晴らしいものをお持ちくださったYさんの作品(?)はみんなが脱帽でした。それでは、まずアペリティフといきましょう。

先ずは、色とりどりのYさん作のカナッペとチーズシュー。プロとアマの違いはまず色彩感覚と盛りつけ方に違いが出ます。とにかく、口に入れるのがもったいないくらいきれいなカナッペです。チーズシューも優しい味でいくらでも食べれて同時にお酒が進みます。まずは白ワインで乾杯。









次はmimouさんのパスタサラダ。彼女も料理の達人。味付けも丁度良い具合でメインがこの後あるということも忘れてパクパク食べてしまいます。



こんな感じでいただいています♪


そして、メインコースはMさん作の「グラッシュ」。オーストリアの名物煮込み料理です。肉は先日一緒に過ごしてきたブルターニュから持ってきたものを使用。どこまでも柔らかく煮込まれた肉とジャガイモのピューレのお味はほっぺたが落ちる美味しさ。もちろんおかわりしました。羊のラベルの赤ワインといただきます。







そして、メインで相当お腹は膨れているものの、もちろんデザートは見逃せません。パティシエのYさんが持ってきてくれたデザートとは...ジャジャーン!「サントノーレ」。あまりの素晴らしさにみんながシャッターを切り始めました。まるでカンヌ映画祭で赤絨毯の上を歩く映画女優のようです。プロのYさんの腕前には言葉がありません。あっぱれあっぱれ。







で、私は何を作って持っていったかというと「抹茶チーズケーキ」です(笑)。もうしつこくしつこくどこまでもチーズケーキにこだわります。しかし、Yさんのこんな素晴らしいお菓子と一緒に肩を並べることなど到底できません。場所違い、お門違いもいいとこです。ということで、私の抹茶チーズケーキはお味の方では「美味しい」というコメントを皆様からいただいたのでホッと胸を撫で下ろしましたが、写真はあえて自分のパソコンの中でキープということにしておきます。

ポワン・イデ打ち上げに参加された皆様、どうもありがとうございました。

2009年5月11日月曜日

(しつこく)チーズケーキ

まだまだチーズケーキへの挑戦は続きます。今回はクリームチーズとマスカルポーネを半々にした分量で少量入れる小麦粉はなし(実は入れるのを忘れました)。卵は全卵を別のボールで泡立てるという一手間、二手間をかけて作ってみました。クラッカーのボトムにはほんの少しだけシナモンを入れて。お味の方は今までで一番口当たりが軽く美味しいかも。次回はfromage blanc、そしてリコッタチーズを使って作ってみます。
そうそう、チーズケーキに合う音楽なんてないなー、と思ってYoutubeでcheesecakeを検索したら、そのまま"cheesecake"という曲がジャズであるではないですか。毎日こちらのラジオ局fipがつけっぱなしのうちでは毎晩、jazz fipという夜8時から9時半の1時間半だけジャズだけを流す番組を聞いているのですが、うん、この曲聞いたことがある!へぇー、「チーズケーキ」という曲だったんですね、これ。あと、ルイ・アームストロングのこのcheesecakeもサイコー!!!コント付きですごく可笑しい。何が可笑しいってわけではないですが、後ろで"Cheeeeeesecake"と言いながらちょろちょろしているおやじが面白すぎ。良き古き時代のアメリカを感じますね。チーズケーキってこの時代からアメリカ人には馴染みのデザートだったんですね、きっと。

2009年5月10日日曜日

第7回ポワン・イデの写真

3月7日に開かれたポワン・イデの写真をアップしました。どうぞご覧になってみてください。

2009年5月9日土曜日

普通に生活すること

今日は息子もいないので久しぶりに自分だけの時間がたっぷり。普段は息子の世話と家事と仕事で追われて自分だけの時間が欲しいと思っているのに、いざ自分一人になると、息子と一緒の生活があまりにも普通になっているので最初は途方にくれてしまう。そうだ、パリ日本文化会館でやっている展覧会の招待状を持っていた。一枚で2人入れる招待状なので友人を誘って行ってみよう。しかし、週末、それも土曜日のお昼を回ろうとしている時に声をかけてもみんな既に先約済み。声をかけた友人3人にことごとくフラれ、しょうがないので一人で展覧会...なんて優雅なことはせず、貧乏性の私は2人入れる招待状をまたの機会のために引き出しにしまい、家で掃除とお料理。いらない物を整理し、掃除機をかけ、トイレを磨き、自分だけのための夕飯を作り、チーズケーキ(また!)を作る。人間が生きるためのごくフツーのことをしたわけですが、このごく普通の掃除、お料理が今日は本当に楽しかったです。家をきれいにするって頭の中を整理することと同じですね。そして、自分のために野菜を切ってお料理をするとは自分の体を労ること。そんなただ普通のことが出来た今日一日がとても貴重に思えたし、今日こうやって生かされていることに感謝できました。週末だからって別にどこかに行かなくても、普通の生活に感謝すればそれだけでその日がとても充実したものになるのですよね。今日のメニューはお野菜だけの「ラタトゥイユ」。安上がりで健康的なメニューです。黒オリーブを入れて、茹でジャガと一緒にいただきました。本当の贅沢って、もしかしたらごくごく普通の生活の中にあるのかもしれませんね。



ブローニュの日本レストラン

ちょっと前になりますが、パリ郊外のブローニュ市に友人のご主人が日本レストラン「四季」をオープンしたというので行ってきました。最近日本人でない人が経営する日本レストランが巷に氾濫していてこういう本格派日本レストランを見つける方が難しくなってきました。パリには詳しくても一度環状線(périphérique)を越えてしまうといきなり右も左も分からなくなってしまう私。友人から事前に地図を送って下調べしましたが、やはり行くまでに曲がるはずのところを曲がらず真っすぐ行ってしまい人に道を聞いてやっと辿り着きました。過去にお客さんを本来だったらほとんど目の前にある建物に連れて行くはずだったのに、その周りをぐるぐる1時間歩かせてしまったという経験をパリ郊外で経験しているため、今回はまだ上出来です。さて、気を取り直してレストランへ。入るといきなり知った顔が。ええっ!?10年前に一緒に仕事をしていた同僚がホールで働いているではないですか。久しぶりの再会でお互いに元気でこの日を生きていられることに感謝。いただいたお料理は、私はトラディッショナルに寿司。うわー、どうしてこんな素敵な盛りつけ方が出来るのでしょう。プロだから当たり前なのかもしれませんが、日本料理は舌で味わうだけではなく目でも味わう料理なのだと改めて納得。この辺はフランス料理と全く共通していますね。一緒に行った友人は竜田揚げ定食。サクっとした食感は家庭ではほとんど不可能な技。本物の日本食を久しぶりに堪能して日本人の食に対するこだわりを再確認した時でした。こちらのレストラン、ランチが終わるとサロン・ド・テとなり、和菓子などもいただけます。抹茶ティラミスは激ウマ。あまりにも美味しくてこの日は写真を撮ることを忘れてしまい画像がありません(^^;







2009年5月8日金曜日

チーズケーキの練習

今レアチーズケーキの練習をしています。先日、アメリカ在住経験のある友人から「NYスタイルチーズケーキを作るのならフィラデルフィアのクリームチーズが必須」ということを聞いたのですが、農業国フランスのことだからわざわざアメリカの輸入された乳製品を買わなくてもチーズケーキは出来るだろうと思いました。どうやら、子供が大好きでよくおやつに食べているKIRIチーズで代用できると聞いたのでトライ。出来上がりは、大満足です。元々アメリカ本格派のチーズケーキをそんなに食べたことないのでこのぐらいで十分かと。2回目はずっと作りたかった抹茶チーズケーキです。実はこの抹茶チーズケーキ、レパブリック広場に近いsept'nという日本人シェフのフレンチレストランでいただいて感銘を受けたのでした。メニューには「抹茶チーズケーキ、レモンの砂糖漬け小豆ソース添え」と記されてありました。抹茶、クリームチーズ、レモンそして小豆というものすごく国際的で、しかし一歩間違うと非常に危ない組み合わせを目にして気持ちは「食べてみたい!」。危ないよ、怖いよ、と言われると余計見てみたい、行ってみたいという気持ちと一緒です。さて、そのお味はというと...ええっ?!お、美味しい。それからというもの抹茶好きの私は「自分でも作れるようになりたい」という欲望が常にありました。このレストランのシェフ、なかなかのチャレンジャーです。前菜にある「フォアグラの寿司」なんてうなる美味しさ。是非一度お試しを。

トラディッショナルなレアチーズケーキ。赤いフルーツのソースで和えてみました。血がしたたるような感じでちょっと怖い?


こちらは抹茶チーズケーキ。切り方がちょっとケチ臭かったです。シェフの味にはまだまだ遠し。

2009年5月6日水曜日

パリ見本市 Vol.3 - 「不景気でも気分はバカンス」編

平日の午前中ということもあって見本市全体は盛り上がりに欠けます。朝の10時からすごい人でフル回転していた農業見本市と比べたらこのパリ見本市は正直言って寂しいです。フランス物産館もランチを過ぎてから盛り上がってくるのでしょう、まだ準備中のところが多くブースを担当している今から戦場に繰り出す前の戦士たちは12時が来る前に自分たちの昼食をとっています。覗いてみると、この「まかない」がまた美味しそう...客が少ないという理由で、本来だったら見本市訪問者のためのバーに出展者がたむろしています。数は少ないとは言えども客は来ているんですけどね。特設レストランにはまだ誰も人がおらず嵐の前の静けさ、という感じです。それでは、フランス物産館を後にして、今度はフランス海外県の館に足を運びます。

あのー、そこってお客用のバーでは?この人たちほとんどみんな出展者


まだ誰もいません


海外県、ほとんどがフランス領ポリネシア、カリブ海の方のマルティニークやグアドループからの出展者です。ここに入ると外は曇っていても原色のトロピカルな世界が広がります。ここは昼を待たずにすでに盛り上がっています。褐色の美人たちがマドラスチェックのドレスに身をまとい自分たちのブースのアピールをします。しかし、この人たちは凹凸のはっきりしたボディで本当に素晴らしいプロポーションです。私なんか彼女たちの中にいるとまるでぬりかべのようです。キョロキョロしながら写真を撮っていると、ん?写真が何だか曇っている。誰もスモークを焚いているわけでもないのに...カメラのレンズ部分を見ると何だかベタっとした指紋が。どうやら、先ほど食べたクナマンのバターがしっかりとべったりと付いてしまったようです(汗)。レンズを拭いて気を取り直して。ところどころで音響効果が使われれています。ギター(じゃないのかな、ウクレレ?マンドリン?)をかかえたおじさんが、目の前に3人しかいなくても一生懸命南国の音楽を奏でます。先ほどフランス物産館でバーにたむろしていたフランス人が怠慢に見えてきますねー。アフロヘアーのヘアーサロンもあったりしますが、直毛の日本人にはちょっと遠い存在ですね。食べ物の方はというと、当然フランス物産館には負けますが、南国ならではのスパイスやココナッツオイルなどで勝負と言ったところです。あっ、そうそう、ココナッツシャーベットはお勧めです。ここでしか味わえないもので、農業見本市のときもしっかり食しました。何だか古めかしーい機械がくるくる回ってシャーベットを作っています。そういえば、3年ほど前、ビーズアクセサリー作家のmimouさんとこの見本市に行った時に彼女のお勧めでこのシャーベットを初めて食べて病み付きになりました。いろんなところがこのシャーベットを売っているので、彼女と物色しておばあちゃんがやっている一番本物そうなところのものを食べました。そうしたら、次の日に二人とも内ももにじんましんが出るという事件が起きてしまいました。全く同じ物を食べて腹痛を起こすというのはよくありますが「内もも」という場所にじんましんが出るとはどういうことだったのでしょうか。もしかしてこれってデトックス効果?未だに二人して首をかしげている次第です。
ということで、手芸品を求めて言ったパリ見本市ですが、結局胃袋を満たすことで終わることとなったのでした。



今年はバカンスに行けなくても、ここで「なんちゃってバカンス」を味わえるかも


誰もいないけど一生懸命音楽を奏でるおじさん


アフロヘアー、私がお願いしたら果たして対応できるのでしょうか


これがクルクル回ってシャーベットを作ります


鯛の姿焼き?!

パリ見本市 Vol.2 - 「糸より団子」編

手芸関係のものが何も見つからず肩を落として見本市を後にしようとしましたが、どうやらこのフランス物産館はその心を癒してくれそうです。2月の農業見本市で見た人たちがほとんどですが、今回は食品とか農業だけに的を絞っていないので出展者も半分以下です。しかし!2月に試食して美味しかったものがまた目の前で私を待っているではないか(涙)。まだ12時を回っていないというのに胃袋はしっかりランチモードです。今日のランチは家で昨日の残り物を食べる、という固い決心がここで太陽の光にさらされたバターのようにとろとろと溶けていきます。先ずは全体を見てから...とぐるぐる廻っているといろいろなところから「ハムの試食だよぉー!」とか「サヴォアのチーズはいかが?」と声がかかる。この声を無視しながら通り過ぎるのは本当に自虐的。そして、そんな私の固い意志を嘲笑するかのようにブルターニュのブースにはクナマン(Kuoign aman)が山積みされている。また、ブルターニュ!...なんです。このクナマン、あまり知られていないお菓子ですが、ブルターニュのお菓子と言えばこれ。すごい量のバターが入っているらしいので(それは食べていたら感じます)レシピは知りたくないです。バターたっぷりの生地にほどよくカラメルでコーティングされていて、口の中では「ふわっ」と「カリッ」が同時進行。だけど、このお菓子、手で食べているとバターでギドギドになります。昼前で空っぽになりかけている胃袋はこの誘惑に無惨にも負けてしまいました。これからもしかして長旅になるかもしれないパリ見本市、腹が減っては戦が出来ぬ、と我ながら素晴らしい言い訳を見つけてクナマンをほおばったのでした。さて、この「クナマン」という呼び方ですが、日本でもまだ全然定着していないブルターニュの超ローカルなお菓子なので呼び方が様々です。私が聞くと「クナマン」と聞こえるので勝手にそう呼ばせてもらっているのですが、日本語ではクーイン・アマン、クインアマン、クイニャマンなどといろいろな表示がされているみたいです。さて、ブルターニュでももちろん現地のクヌマンを食べたのですが、パリで食べるクヌマンのお味は...はぁー、美味しい。お腹が空いてフラフラだった私もこれを食べて、一時的ではありますがたくましい「なんちゃってブルトン」に変身です。顔を変えてもらったアンパンマンになった気分でリフレッシュして見本市周りを続けます。



鍋一杯に用意されたお惣菜


うわっ!クナマン山積み


クナマンにひれ伏すのに1分とかかりませんでした


手焼きコーンが自慢のジェラート屋...ですが今回はぐっと我慢です

パリ見本市 Vol. 1 - Foire de Paris

毎年恒例の「パリ見本市/Foire de Paris」に行ってきました。手芸用品を求めに行ったのですが、この分野においては皆無というぐらいに何もありませんでした。一番奥の7号館(2月では国際農業見本市で一番盛り上がっていたフランス物産館のところです)にLoisir créatif(クラフトコーナー)があるというので行ってみたらあまりにも寂しくて唖然としてしまいました。スクラップブッキング関係のブースがまばらにある程度で、針や糸関係のお店は本当に何もないのです。同じフロアにある健康器具ブースに押されてとてもわびしい雰囲気でした。ところで、こちらの健康器具を売っている人って、全然健康そうじゃない人が多いですね。なんちゃってジャグジーなどのコーナーでも「これ使ったらこうなるの?」というぐらい太ったおばさんが売り場を管理していたり、いかにも生活疲れしている人がマッサージ機を売っていたりでいくら巧みな売り文句を並べても懐疑的にならざるを得ません。落胆して7号館を出て今度は「世界の手工芸館」に行ってみました。ちょっとマシです。怪しげなインド人の絨毯売りや天然石売り、アジア雑貨、モロッコの雑貨屋さんのところではミントティーが飲めるコーナーもあったりで、やっと見本市らしくなってきました。ここで例年よりもかなり増えたのがエクアドル産の「パナマ帽」。私も欲しいのですが「全て手作り」を売り文句に一つ40ユーロ近くするんですよね。40ユーロとなるとエクアドルではきっと相当な価値になるのでしょうね。全て手作りと言われても、私にはこのパナマ帽の本物を見分ける目がないのでかなり懐疑的になっていて納得いかないので購入は控えます。こんな状態だと、エクアドルに行って自分の帽子を目の前で編んでくれないと財布の口を開かないでしょう。
とは言っても、例年のパリ見本市と比べるとこの世界の手工芸館もどこも似たり寄ったりの物しか置いてなく、ちょっと寂しいものが感じられました。ここを出て、今度は「フランス物産館」に行ってみます。入った瞬間美味しそうな香りが。おおっ!2月の農業見本市で見た光景がまた目の前に広がります。



おじさん、ただいまミントティーの準備中


こういうところでミントティーをいただきます


天然石ブース


パナマ帽が今年は大人気