2010年8月24日火曜日

北海道 道東の旅 - 「北海道立 北方民族博物館」その一

北海道は涼しいです。この頃の東京はまだ梅雨明けしていませんでしたが、それでも30度。北海道にいるとそんな不快さはどこ吹く風という感じです。
さて、目的のアイヌ刺繍を求めて動き始めます。まずは網走にある北海道立北方民族博物館。アイヌ民族の歴史だけではなく、オホーツク海からロシアにかけて、そしてグリーンランドのイヌイット(エスキモー)、スカンジナビアのサミ(ラップランド)などなど、北方と言ってもかなり広い分野を網羅しているこの博物館、期待以上のものがぎっしり詰まっている私にとって夢のような空間でした。数々の民族の衣服がいきなり目に入って来て我を忘れます。しかし、それまで私が見慣れている「衣服」というものを覆すようなものばかりです。というよりも「被服」の原点に戻ったものが並べられています。その中でも私がびっくらこいたのは、これ!

これ、和紙じゃないですよ。腸、です!アラスカのイヌイットの方による「腸製パーカ」。防水性に富んでいてカヤックなどの舟に乗るときは必需品とか。アザラシ、セイウチ、クジラ、オヒョウなどの海獣や魚の腸を用いるそうです。縫い目から水がしみ込まないように縫い目や継ぎ目には工夫が施されているそうです。まさか「腸」が衣服になるなどとは思ってもいませんでした。このパーカを着たら自分は「腸詰め」になっちゃうのですね。


もうこの時点で、錦織だの、紬などという今まで私の中にあった衣服の枠を超えます。まさに「生きるために着る」という被服の原点に戻らざるを得ません。



でもって、これは魚皮。魚の皮で出来た靴です。背びれの部分が靴底の中央に来るようになるように作られていて滑り止めの役割を果たすのだそうです。人間の知恵ってすごい!!!
皮はサケやイトウなどらしいです。鮭とばが大好きな私なんか、この皮を火にあぶって鮭の肴にしかねませんが...





小物だって忘れてはいません。これも腸製。毛皮がついてなかなかお洒落です。


いきなり腸だの魚の皮だの出て来ましたが、博物館にはまだまだたくさんの物が収められています。